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日本電産、残業ゼロへ1000億円投資 工場自動化や人材育成

 日本電産は2020年までに1000億円を投資して、同年に国内従業員約1万人の残業をゼロにする。最新のロボットやスーパーコンピューターを導入して製品の開発期間を短縮したり、業務の効率化につながるソフトウエアを取り入れるなどして実現する。優秀な人材確保のためには働き方を抜本的に変える必要があると判断、大型投資に踏み切る。

 工場などの生産部門と、開発や事務など間接部門に約500億円ずつ投資する。

 工場では外部委託している検査工程などを自社に取り込んだり、最新鋭の自動化設備を導入したりして作業時間を短縮する。開発部門などでも、スパコンを複数台導入して開発期間を短縮する。

 工場部門より生産性が劣る事務系社員の改革を重視する。会計や労務部門には業務の効率化につながるソフトウエアやテレビ会議システムを導入する。職場配置も見直し社員の移動にかかる時間を減らす。

 残業代がなくなる分は賞与や手当の増額で補い、年収が減らないようにする。語学や専門知識の習得にあててもらうため、教育関連の投資を従来に比べ3倍に増やす。

 日本電産は15年秋時点で本社社員平均の残業時間は月40時間あった。残業の申告を厳格化したり、会議の時間や資料を減らし残業を半減してきた。ただ「さらなる残業削減に投資は惜しまない」(永守重信会長兼社長)として決断した。

(2017.1.25 日本経済新聞

昨年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」で、働き方改革は最大のチャレンジと位置付けられ、一億総活躍社会の実現に向けた横断的課題とされています。「働き方改革」の3つの柱は、①同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善、②長時間労働の是正、③高齢者の就労促進 ですが、中でも長時間労働の是正に現政権はかなり力を入れています。

この数年、大企業を中心に各社がさまざまな長時間労働対策を打ち出しています。一例をあげますと、伊藤忠商事は、22時から翌5時までの深夜勤務は全面禁止。20時から22時までの勤務は原則禁止とし、必要な場合は事前申請のうえ認めることとしました。その代わりに朝5時から8時までの早朝勤務にはインセンティブとして、深夜勤務と同等の割増賃金(150%)を支給することにしています。

ただ、資金的に余裕がある大企業だから対策を打てるんだろう、という冷ややかな意見があるのも事実です。確かに下請企業や外注先への無理な発注によって、自社の残業削減を実現しても、それは負担を他社に移転したに過ぎず、日本全体での長時間労働削減にはつながりません。

この点、ニッポン一億総活躍プランでは、「長時間労働の背景として、親事業者の下請代金法・独占禁止法違反が疑われる場合に、中小企業庁公正取引委員会に通報する制度を構築し、下請などの取引条件にも踏み込んで長時間労働を是正する仕組みを構築する。」としています。長時間労働対策というと、企業と労働者との関係がクローズアップされることが多いですが、企業間取引を公正にしなければ、実効的な長時間労働是正にはつながらないということですね。