勤務5年超で無期雇用転換 非正規の8割、制度知らず

 非正規労働者が5年を超えて勤務すると正社員と同様に定年まで働けるようになる「無期転換ルール」について、非正規の85.7%が制度の存在や内容を知らないことが5日、人材サービス会社アイデム(東京)の調査で分かった。このルールは非正規の雇用安定を目的に来年4月に始まるが、当事者に十分浸透していない実態が浮き彫りになった。

 アイデムの担当者は「企業が周知に取り組むことも大事だが、働く人は自ら申し込まないと権利を行使できない。積極的に情報収集すべきだ」と指摘した。

 ルールは2013年4月施行の改正労働契約法に盛り込まれた。非正規労働者は同じ会社で契約更新が繰り返されて通算5年を超えた場合、本人の申し込みに基づき正社員と同じ契約更新の必要がない「無期雇用」として働けるようになる。一般的には企業の中核を担う正社員ではなく、職種や勤務地を定めた限定正社員となるケースが先行導入した企業では多い。 

(2017.5.6 日本経済新聞

2013年4月1日に施行された改正労働契約法において、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者からの申込みによって、期間の定めのない労働契約に転換されるルール(無期転換ルール)が導入されました。有期契約労働者は全国に約1500万人といわれ、その約3割が通算5年を超えて有期労働契約を反復更新しています。無期転換ルールは、このような長期雇用の有期契約労働者の無期契約化を図り、雇用を安定化させることを目的としています。

記事によれば、非正規の85.7%が制度の存在や内容を知らないとのことですので、企業から非正規社員への無期転換ルールの周知はあまり進んでいないことがうかがえます。ただ、改正労働契約法の施行から5年を経過する来年4月頃には、無期転換についての報道が多数流れることが予想されますので、「希望すれば正社員になれる」等の誤解が生じる前に、無期転換申込権について事前に説明をすることが望ましいと言えます。