いなげや社員 労災認定 労基署「長時間労働で過労死」

 首都圏が地盤の食品スーパー、いなげやの男性社員(当時42)が脳梗塞で死亡したのは長時間労働が原因だとして、さいたま労働基準監督署さいたま市)が昨年6月、過労死として労災認定していたことが17日、分かった。

 都内で記者会見した代理人弁護士によると、男性は2011年11月から同社の志木柏町店(埼玉県志木市)で勤務。14年6月に店舗を出た直後に倒れ、脳梗塞で亡くなった。

 同労基署は脳梗塞発症前の4カ月間の時間外労働が1カ月当たり平均75時間53分だったと推定。ほかにも労働時間と推定される時間があり、労災認定の目安である1カ月当たり80時間を超える時間外労働をしていた可能性が高いと判断。昨年6月28日付で労災認定した。

(2017.4.18 日本経済新聞

いわゆる過労死ラインは、①発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、あるいは②発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合をいいます。

記事によれば、脳梗塞発症前の4カ月間の時間外労働は平均75時間53分とのことですので過労死ラインは下回っていますが、ほかにも労働時間と推定される時間があったために労災認定とのことです。きちんと勤怠管理をしている会社でも、社員に長時間労働をさせれば、万が一の際には労災認定される可能性があるという実例です。

男性は始業時刻前の出社についてタイムカードを打刻していなかったり、終業後もサービス残業していたとのことですが、仮に社員が自発的にそのような働き方をしていたとしても、いまや会社の管理責任が問われてしまいます。小売業・飲食業はパート・アルバイト社員が多いため、少ない正社員に業務が集中しやすいと言われますが、長時間労働に依存した事業モデルはもはや成立しない時代になっています。