脱時間給 今国会見送り 臨時国会、働き方改革と一体審議

 政府・与党は労働時間ではなく仕事の成果に給料を支払う「脱時間給制度」を盛り込んだ労働基準法改正案の今国会成立を見送る方針を固めた。7月の東京都議選を控え、与野党の対決が見込まれる同法案の審議は得策ではないと判断した。秋に予定する臨時国会で、残業時間の上限規制などを含む「働き方改革関連法案」と一体で審議し、成立をめざす戦略だ。

(2017.4.12 日本経済新聞) 

「脱時間給」を盛り込んだ労基法改正案は、2015年4月に国会に提出されています。しかし野党が「残業代ゼロ法案」などど批判、与党も衝突回避をして、審議は2年間も据え置きになったままです。

脱時間給の対象は年収1075万円以上の専門職です。1000万円以上の給与所得がある人は全体の4%弱と言われ、この中にはもともと残業代の出ない取締役や管理監督職が多く含まれているので、直接的に影響が出る人の割合はさらに少ないとみられています。このような、所得的にはかなり恵まれており、自己裁量も高い特殊なケースの社員の働き方を、労働時間という概念で一括りにするのが実態に合うのかは疑問が残るところです。

多様な働き方を推進するのであれば、労働者にとってメリットのある施策ばかりでなく、デメリットのある施策についても議論を尽くすべきです。労基法改正案は遅々として審議が進まず、働き方改革推進の妨げになっています。この問題を政争の具にするような愚かな行為は与野党ともに控えるべきではないでしょうか。